前回は、8020運動の概略をお話しました。後編は、いよいよ50%以上を達成した8020運動の見えない部分のお話です。
8020運動の調査は単純に何本歯が残っているかを調べたもので、残った20本の歯の「状態」までは調べられてはいないのです。つまり、28本全部歯が残っていても歯周病でグラグラ揺れていたり、虫歯で欠けていたり、よく噛んで食事ができていなくても8020達成なのです。
本来の目的は、「20本以上の自分の歯でおいしく食事ができること」のはずです。もっと言うと、「しっかり噛んで、よく食べられること」が重要で、自分の歯に拘る必要はないということです。グラグラに揺れている自分の歯より、ぴったり合った入れ歯の方がよく噛めます。所々欠けて、ボロボロになって残っている自分の歯より、ブリッジやインプラントでしっかり噛み合わせを作った方がよく噛めます。
なるべく歯を抜かない治療というと、聞こえは良いですが本来の歯科治療の目的である、「よく噛める、よく食べられる、笑顔でおしゃべりできる」という治療ゴールを見誤ってしまうこともあります。ただの数字上の8020運動達成にあまり意味はなく、歯1本だけを診るのではなく、その後の人生の段階に応じたお口全体の機能の維持・向上、清掃性の確保、審美性を考慮した治療計画が必要になります。
ですので、8020達成に関わらずお口の機能に何か不安や不具合を感じている方は、歯科にお気軽にご相談ください。