Vol.119

一次救命処置、緊急時に備えて

当院では月に一度、院内研修会を開いています。内容は症例発表や基礎分野の文献発表など様々ですが、その中で年に一度、必須項目として行っているのが「救急対応」に関する研修です。

歯科治療のほとんどは外科治療に分類されるので、治療中の患者様に体調の急変があったときに備え、予め訓練しておく必要があります。何も起こらないに越したことはありませんし、細心の注意を払って診療をしていますが、万が一の準備として連携する医療機関への通報手段や、救命処置の流れを確認しています。

研修には、実際に救急救命士さんをお招きし、限られた設備で行うBLS(Basic Life Support:一次救命処置)について実習します。胸骨圧迫(心マッサージ)や人工呼吸、誤嚥による窒息の対応、AEDの使用方法など、基本的な救命処置を学びます。

また、不測の事態は院内だけで起こるとは限りません。日常の中で緊急の事態に直面することもあります。だからこそ職員には、医療従事者として命を助ける行為に参加する勇気を持って欲しいと伝えています。何も訓練されていない人と、訓練の経験がある人では、一歩踏み出す勇気に違いが生まれると考えています。

目の前にいる人が倒れ、意識を失う場面に遭遇することはそう滅多に起きることではないかもしれません。しかし、その「もしも」に備えることこそが、命を守る第一歩です。