Vol.114

咬み合わせ認定医取得 咬むは万能の薬

僕が所属する学会の一つ、日本顎咬合(がくこうごう)学会は国内最大規模の臨床医の学会で、健康生活に密着した臨床歯科医学・医療を研究する学会です。顎咬合学会という名前だけでもなんだか難しいですが、簡単にいうと咬み合わせと全身の健康の関係を研究し、日常生活を健口な状態で過ごしていただくための研究をする学会です。

例えば、高齢者の健康のためには、若い時と同じ噛む能力を保つことが重要で、噛むことが全身の運動機能や精神活動、病気にも大きく影響することがわかってきています。

歯が少ない高齢者や、入れ歯の状態が悪い高齢者は要介護や寝たきりになるリスクが高いといわれていて、歯を多数失い義歯も使用していない状態、つまり咬み合わせが不安定な状態だと体のバランスが崩れ、転倒リスクが高まる傾向にあると考えられています。

たとえ歯を失ってしまった後でも、しっかりとした入れ歯やインプラントで治療を行い、咬み合わせの機能を回復することでこれらのリスクは下げることができ、健康寿命に貢献します。

ところで、「噛む」と「咬む」の違いは、一般的に食べ物を食べるときは『噛む』で、上下の歯を合わせるときの機能や顎の運動に関するときには「咬む」が使われるようです。僕が去年取得した「咬み合わせ認定医」の資格は、この咬み合わせに関する臨床エキスパートを認定するものです。

日本顎咬合学会ホームページ