前回のお話はこちらよりで読んで頂けると幸いです。
東日本大震災での災害ボランティア活動の現場で印象的だったのは、避難所での炊き出しの際の光景でした。瓦礫撤去が進み道路が通れるようになると大きなフードトラックで炊き出しのボランティアが全国各地から避難所に来てくれるようになりました。美味しいものを食べた時の皆の笑顔、子供達の笑い声は本当に心温まります。
歯科医療の基本は、口からしっかりご飯を食べることを支えるものです。食べることは生活そのものです。歯や歯茎が良い状態に保たれていれば、食事の内容も良く、消化器系の病気になりにくく、足腰も弱りにくい。予防歯科(虫歯や歯周病を予防すること)から予防医療(全身の病気を予防すること)にシフトしていく時代になり、歯科がその先頭を走ることになると考えています。
ボランティア活動を終え、最初に勤務した歯科医院はスウェーデンの予防システムを取り入れている予防を中心とした医院でした。そこで院長先生には「予防はもちろん大切だが、良い治療があってこそ予防の概念が成り立つ」と教え込まれ、ハッとしたことを覚えています。失った歯の機能を回復する治療は、食事を助け、全身の病気予防に繋がります。機能が回復したお口は適切なメンテナンスで長持ちさせることが大切です。