今年のインターハイは36年ぶりの北海道開催だったようで、旭川から出場した選手や競技を観戦に行った方も多くいらっしゃったのではないでしょうか。
僕は高校時代にテニスをしていたのですが、とある大会で、普段は診療でほとんど試合は見に来られない父が応援に来てくれたことがありました。
僕の試合が終わり休んでいると、別のコートで何やらざわついていて、選手と大会スタッフが話し込んでいたのです。近くに行って様子を伺うと、どうやらその選手のラケットが何かの拍子で自分の前歯に当たって歯が折れてしまったようでした。
選手も興奮していて、少しパニック気味になっていたところ、父がおもむろに大会スタッフに「私は歯科医だから診てみますよ」と申し出て、その場でその選手の欠けた歯を確認し、緊急性は無い軽症と診断。そして、その選手に大丈夫だから落ち着いてと試合続行を促し、その場を収めたことがありました。遠巻きに一連の出来事を見ていて、なんかいつもと違って父かっこいいぞと思った瞬間でした。
そんな父が今年6月、50年の歯科医師人生を全うし、臨床の場から引退することになりました。歯ブラシで歯を磨くことが虫歯や歯周病の予防に繋がるという今では当たり前のことが認知されていなかった40数年前、ブラッシング指導を臨床に取り入れた父のスタイルは今後も引き継がれていきます。