歯科治療の技術の中で、フェザータッチという言葉があります。歯科医師、歯科衛生士両方に共通する言葉で、歯を削るときや歯石を取る器具を扱うとき、羽根で触れるように優しく操作することを意味しています。
僕が新人時代、当時勤務していたクリニックの院長先生に繰り返し言われていたのは、とにかく「力を抜け」の一言。力んでいるとどうしても余計な力が口の中に伝わってしまい、フェザータッチができないのです。
院長先生より、このフェザータッチは歯を削る時だけでなく、口の中にたまった水を吸い取るときや、被せ物を合わせるとき、ほっぺたや唇を広げるときなど全ての操作に徹底して意識しろと指導されました。なぜなら、口の中は人体の中でも最も感覚が繊細な場所の一つだからです。
余計な力が少しでも入ったならそれは患者様にとっては、不快でしかないと。まして、「器具を口の中でガチャガチャぶつけるなんて最悪だ!」と怒られていました。
優しく、丁寧に、素早く。ただ治療するだけでなく、いかにストレスを感じさせずに治療を受けていただけるかも大切にしなければいけないポイントです。多くの歯科医院では定期的にスタッフ同士でクリーニングなどを行い、お互いの技術向上のため研鑽しています。